皆さんこんにちは。
コロナウィルスで大変な事になっていますね。
欧米では爆発的に感染者数が増えて外出禁止、日本でも首都東京が外出自粛、誰も予想していなかった展開が目の前に現実に進行しつつあり、「こりゃいったいどうなるんだ。」と不安な日々を過ごしている方も多いかと思います。
私たちのいる三重県ではそれほど具体的に影響を感じる場面はありません。(今のところ)
でも、マスクがなかなか買えなかったり、軒並みイベントが中止、順延になったりしています。
Sunameri、Xiaomeriに関しては、影響は甚大です。
まず、Sunameriは、1月末から中国全土で都市封鎖が行われた事により、部品の供給が止まりました。ホイールインモーター、コントローラー、ブレーキキャリパー等、主要部品が中国からの輸入なので困った状況になりました。
これを書いている3月30日時点では、それぞれのサプライヤーは操業再開して、部品は届きつつありますが、部品納入が遅れた影響で2ヶ月以上Sunameriは出荷できていません。
Xiaomeriは、車体の殆どを中国深センで生産しているので、これも完全に止まりました。Makuakeでのクラウドファンディングでは50台を超えるオーダーをいただき成功裏に終える事が出来たのに、困った状況になりました。
幸い、深センの都市封鎖は解除され、工場も操業再開されて正常化しつつあります。
しかし、日本と中国は相互に渡航禁止状態なので、生産前の最終的な調整の為の打ち合わせが出来ない状態です。
ビデオチャットでの打ち合わせは何回かやっていますが、ものづくりの細かい仕上げの具合というか、微妙なニュアンスについては、「会って、面と向かって話ししないと伝わらない」と感じています。やはり日本人は細かい事を要求します。僕も含めて。ハーネスの取り回しの整頓された美しさとか、中国側に伝えるの難しいです。彼らは「機能的に問題ないんだから、いいんじゃね?」という感じですが、そこを何とかちゃんとやって欲しい。
本来なら、飛行機で4時間半我慢すれば飛んで行けるので、すぐに済ませて前に進める事が出来るのにもどかしい状況です。
という感じで、SunameriもXiaomeriもオーダー頂いているのに予定通りにお届けする事が出来ずご迷惑をお掛けしております。すみません。
この数ヶ月間、未曾有の事態に対応しながら強く感じた事があります。
それは、
「日本ってもう、ものづくりの国じゃないな。」
という事です。
ウチでは、カーボン成型したり、金属部品を作ったり、組み立てしたり、「ものづくり」やっていますが、全てを作れる訳ではありません。リチウムイオン電池やモーター、コントローラー、たくさんの部品をサプライヤーさんから調達しています。
それらの多くが海外、主に中国からやってきます。日本のメーカーに発注しても、結局中国工場で生産していて、この騒ぎで止まってしまいました。
2月初め、この事態が表面化してきて「こりゃいかん、日本国内で調達先探そう」と動き出したものの、なかなか見付からない。作れても値段が3倍、5倍だったり。
困った。
僕らのものづくりは思っていた以上に中国に依存していました。
では、なぜ日本のものづくりはこれほどまでに中国に依存してしまっているのでしょうか?
ちょっと考えてみました。
2019年、合計5回中国に出張して、いろんな人に出会いました。
彼らとミーティングの後、会食したりしていろいろ話しをするわけですが、彼ら、特に若いエンジニアたちは好奇心旺盛かつ責任感もあり、それなりに信頼できそうな人たちが多いです。(客先対応で取り繕っているだけかもしれません)
いろいろ聞くと、大卒2年目の優秀なエンジニア(電気回路設計とプログラミング担当)の場合で月給700USD~800USDだそうです。日本円で7万円とか8万円。
ものづくりの中心地深センでの話です。
日本の大卒の初任給は20万円くらいですか?とすると、半額以下、3分の1くらいかもしれません。
さらに聞いてみると、工場の工員は300USD~500USDだそうです。
日本の5分の1とかの計算。
中国は経済発展して平均給与の上昇が著しいと聞いていましたが、現場レベルではまだ日本との開きは大きいみたいです。
なんでだろう?と調べてみると、中国では戸籍によって就ける職業に制限があって、農民戸籍の地方出身者は、深センみたいな都会に来ても戸籍上の制限がある為、本来的には工場で働くことは許されていません。ゆえに正規雇用されず、安く働かせられてる状況があるみたいです。
それは取り締まりの対象にはならないみたいで、国全体で黙認する事で、安価な労働力が安定的に供給されるメカニズムを維持しています。
そういうカラクリがあるから、圧倒的な価格競争力で世界の市場を席巻してきた訳です。
安い、というのは魅力ですものね。
厳しい言い方をすれば、中国は現代版の奴隷制度を活用して経済発展してきたワケです。
人種差別ではなく戸籍制度を活用した奴隷制度です。
工場で汗流して働く彼らを思うと心が痛みますが、僕は外国人なので、立ち入る事はできません。でも僕ら外国人が、安い中国製品を喜んで買って使う事が、この歪んだ国のシステムを維持している事も知っておいたほうが良いかもしれません。
振り返って日本を見ると、働き方改革で、より少ない労働時間で生産性上げて、賃金も上げて、となかなかに難しい状況です。これで中国や新興国と価格競争しながらものづくりするのは相当に難しいです。
大手メーカーでは、高度な工作機械を導入したり、大量生産する事で、日本の高い賃金を支払いつつも世界に伍する製品を生産できる事ができています。
しかし、ウチのような零細は、もちろん高額な設備投資はなかなか出来ません。
そして大量生産していませんから、量産効果でのコストダウンも見込めません。
すると結果的に、職人技で何とかするしかないのです。
だから日本の中小零細のものづくり企業は、「特殊」「小ロット」「高付加価値(高コスト)」というプロダクトを武器にしているパターンが多いように感じます。
ウチもそうですね。
しかし、このままでいかん!と僕は感じています。
中国依存のままでは、今回のような感染症問題がいつ発生するか分からないですし、
日本のものづくりは本格的に衰退してしまいます。
日本が経済的により一層衰退すれば、それは安全保障の面でも悪い影響があるでしょう。
中国人は文化的な違いこそあれ、社会正義みたいな部分では共通する部分も多くあり、お付き合いする際にどうしようもない違和感みたいなモノは感じません。しかし、中国政府は違う、と思っておいたほうが良さそうです。一帯一路という野望を隠していません。
じゃあどなんすんねん?
となるワケですが、僕は政治家でも活動家でもなく、エンジニアですので、自分の職責としてものづくりを頑張ります。
脱中国リスクをテーマに、新しいサプライチェーンの構築を考えてみたいと思います。
そんなことを考え出した矢先に、政府でもコロナウィルス経済対策の中でも「リスク回避の為のサプライチェーンの再構築」を検討し始めたようです。
自動車の数万点に及ぶ部品点数の全てを脱中国するのは、直ぐには不可能でしょうが、電動キックボードであれば、部品点数は数百ですから、不可能ではありません。
ちょうどいいモデルケースになるんじゃないかな?と考えています。
しかも、世界中の街を走る電動キックボードの殆どは中国製ですから、新しいメイドイン ジャパンがどこまで戦えるのか?興味があります。
さっそく、上記のような考え事をつらつらとtwitterでつぶやいて、行動し始めたところ、思いを同じくする日本人の方々は意外にも多く、既にいくつかの企業との具体的な協業の話が進みつつあります。
目下のところ、Sunameriの部品の国産化を目指しつつ、「新サプライチェーン第1弾」としての次機種の開発も始められそうです。次機種はSunameriのようなハイエンドモデルではなく、より普及価格帯のプロダクトになります。
コロナウィルスで経済不安しかない今、新機種開発なんて「アタマおかしい?」と言われそう(笑)ですが、危険な試みは覚悟の上、冷静沈着に戦ってみたいと思います。
引き続き、フヂイ エンヂニアリングをよろしくお願いいたします。
何にしても、健康あってのものですから、皆様もよく食べ、よく休み、免疫力高めて行きましょう!!
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